源流

2017年5月18日 (木)

2017GW

 今年のGWは数年ぶりの春の新潟でイワナ三昧でした。

 関東では味わえない巨大な雪渓の残る谷での釣りの味はなかなかのものです。

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 初日の沢の水は案外温かく、魚たちも思ったよりしっかりした体になっていました。

 しかし2日目の沢は同じ山系にもかかわらずなぜか身を切るような冷たさ。 そのせいかやや痩せ気味の魚が多め。 それでも前週の山梨の沢よりも錆を残した魚が少なく感じるのは気のせいでしょうか。

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 キレイな魚に、尺イワナまで出て気分は上々。

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 最終日の3日目もぴかぴかのイワナたちに遊んでもらえました。

 さあそろそろヤマメにも会いに行きましょうか。

2016年9月 7日 (水)

那珂川水系のイワナ

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 お盆以降、8月中に釣った2匹のイワナ。 

 少し前に鱒研さんの掲示板に投稿し、ブログにも掲載して頂いたイワナたちです。 

 

 大きさは共に9寸、場所は那珂川水系のそれぞれ別の支流の個体です。

 こうして並べて見てみると、色合いは保護色の影響もあるので一概には言えませんが、斑点とパーマークの出方がまったく違いますね。

 お互いにそれほど離れた沢ではないのにこうも違いがあるのは、過去に行った放流の影響でしょうか?

 在来のイワナに近いのはどちらのタイプなんでしょうね。 単純に見た目で言えば、下のイワナのほうが好きですが・・・

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2016年8月23日 (火)

最後の夏休み 2

 翌日は別の支流へ。

 こちらの沢も人の気配はまるで感じられません。

 入渓点からしばらくは背丈を超える草が生い茂り、やっとその先の森に抜け出たら、頼りない踏み跡には簡単にどかせそうな邪魔な倒木も堂々と横たわったままになっていました。

 川辺に降り立ち、砂地に足跡を探す・・・

 やはり、ありません。

 先に準備を終えた父が釣りを始めると、一投目から2匹のイワナがチェイスしてきたといいます。 このときから期待は持てそうだと感じていましたが、まさかこの先にあれほどまでのイワナの楽園が待ち受けているとは思いもしませんでした。

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 前日に入った沢に比べれば、渓相も平均的な魚体の色合いの美しさも劣ってしまうのですが、魚影はこちらが圧倒的。

 良さそうなポイントには必ず、本当に1つの例外もなく必ず魚が入っていて、大場所では良型が5、6匹同時に追ってくることも当たり前・・・

 流れの中に定位するイワナを見つけることだって簡単でした。

 禁漁区でもない、放流にも頼らない場所でこれほどの魚影が見られることには驚くほかありません。

 ただし何十匹も釣れたのかというとそうでもありませんでした。

 離れたところからすっ飛んできたり、絡みつくように何度もチェイスしてくるところまでは釣り人を知らないピュアなイワナの反応に見えるのに、なぜかバイトまで至らない・・・

 足跡もゴミも一つもなく、入渓ルート以外には踏み跡すらないので、やはりどう考えてもスレているとは思えないし、第一この異常なまでの魚影の濃さは誰も来ていないことを証明しているように見えるのですが、本当にたくさんのイワナに見切られてしまいました。

 でも反応した魚は必ず喰うような状態だったら、きっと釣れすぎて飽きてしまったと思います。

 それでも普段に比べたらずいぶん釣れたんですけどね。 

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 このゆうに尺を超えるイワナも、結局釣り上げることはできませんでした。

 屈折のせいで目が飛び出て見える不恰好な写真しか残せませんでしたが、釣れたらきっと絵になるイワナだったんだろうなあ・・・

 近づいても逃げなかったので、いっそ掬ってやろうかと思って水中にネットを突っ込んだら、さすがに逃げられました。

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 実際に釣れた大きさは、私も父も泣き尺が最大でした。

 これは確か私が釣った28センチほどのイワナ。

 鳥につつかれたのか、増水で流れた石に挟まれたのかは分かりませんが、尾鰭がちぎれていました。

 完全な状態でも尺には届かなかったかな・・・

 結局大物には出会えませんでしたが、この日もとびきりのキレイなイワナに出会うことができました。

 ある白いナメ床と砂のプールで9寸ほどのイワナがヒット。

 このくらいの大きさならこの日は何匹も出会ってきたので最初は特に驚きもなかったのですが、はっきり目視できる距離まで寄せたところでキレイな青い背中が見えました。

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 爽やかで瑞々しい最高の美魚がネットに収まり、前日の沢のイワナに勝るとも劣らないその姿にしばし釘付けになってしまいました。

 沢はまだまだ奥まで続いており、登っても登っても最後までイワナの姿が絶えることはありませんでしたが、時計を見るともう午後2時。 後ろ髪を引かれる思いでもと来た道のりを引き返しました。

 家に戻ると、大叔父が豪勢な夕食を用意してくれていました。 疲れた体には有難いです。

 それから私たちも、あれだけ魚影の濃い沢だったので、久~しぶりに2匹のイワナを頂戴してきました。 今の時代、どれだけ魚影が濃かろうと推奨されるべき行為ではないのかもしれませんが、自分で釣った天然のイワナを食べることには何ものにも代えがたい喜びがありました。

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 夕食のあとは2日分の釣りの疲れを癒すように早く布団に潜りこみました。

 照明を消してしまえば、光は家の前にある古い電灯か月や星の輝きしかなく、部屋はほとんど真っ暗。

 そんな中で聞こえてくる、すぐ近くを流れる川のせせらぎ、虫やカエルの声・・・

 年に何度も味わえないノスタルジックな夜の心地よさに、あっという間に眠りに落ちてゆきました。

 

 

 そして翌日。

 ゆっくり目を覚まして遅めの朝食を済ませたあとで、大叔父に別れを告げて新潟を後にしました。

 

 物心つく前からのこと・・・

 この土地の村を流れる渓流で、父や親戚たちから川遊びを教わりました。

 それ以来私にとっての夏休みといえば、この場所での川遊びが最大のイベントでした。 

 きっと幼い頃からのあの経験がなければ、釣りを好きになることもなかったと思います。

 毎年毎年、本当に楽しませてくれたこと、釣りに出会うきっかけを与えてくれたこと、この場所には感謝してもしきれません。

 最後も楽しませてくれてありがとう。

 

 さようなら、夏休みと思い出の場所・・・

 

 ・・・まあ、社会人になっても暇さえあれば来ると思うんですけどね。 大袈裟に書きすぎました。

2016年8月16日 (火)

最後の夏休み 1

 学校の夏休み自体は9月下旬まで続くのですが、感覚的には、やっぱり夏休みといえば8月いっぱいまでな気がします。

 そして、秋が来る焦燥感もなく夏を満喫していられるのはお盆まで。

 今年度で学生生活を終える私にとっては、このお盆が何も気にせずに夏を過ごせる最後の時間でした。

 

 そんな時間を過ごした場所は、祖母や父が生まれた新潟のとある山村。

 今は大叔父が守る先祖代々の家に厄介になりながら、私も生まれた時からお盆にほぼ毎年来ているこの場所で、父と一緒に釣りをしてきました。

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 初日は、昔の村の住人でも滅多に行かなかったという渓へ。

 今ではなおさら知る人などほとんど居ませんが、私たちにとっては屈指の名渓です。

 それなりに良いサイズの魚に期待が持てることも気に入っている理由のひとつですが、大きな理由は圧倒的な渓谷美とイワナの美しさ、そして誰にも知られていないという点。

 色々な偶然が重なって成り立っている奇跡のような場所です。

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 唯一欠点を挙げるとすれば、他の支流に比べて随分魚影が薄いこと。 恐らくイワナにとっても厳しい環境なのだと思います。 

 でも個体数が少ないおかげで餌の競争率が低いためか、毎回尺クラスを拝めるほどにサイズには恵まれています。

 今年は父が尺イワナを釣り上げました。

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 大きさだけではなく、ここのイワナはとにかくキレイなことも魅力だと思います。 

 特徴は華やかな色彩と水まんじゅうのような透明感。 

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 全部が全部こんなにキレイなわけではありませんが、多くの個体がこのイワナに見られるような特徴を少なからず備えています。 

 特に目を引くのが色のついた斑点の色。 黄でも橙でもなく、淡い桃色の斑点はこの沢以外では見たことがありません。 さらに鰭や腹と、口元にまで滲んだオレンジ、緑がかった背中、主張しすぎない白斑の組み合わせが絶妙で、イワナ好きなら一目見ただけで心を奪われるに違いありません。

 あの美しさが写真では伝えきれないのが残念です。

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 完璧な渓谷美の中でこれほどキレイなイワナが釣れれば大きさなどどうでもいいのですが、最後には私にも尺には届かないものの良型が釣れました。

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 この沢は今年で3度目の遡行になりましたが、初めて訪れたときの印象そのまま、まったく色褪せることのない最高の場所でした。

 我儘極まりないことですが、ここだけはこの先もずっと誰も知らない秘密の場所であってくれたらと思います。

 

2016年8月 3日 (水)

梅雨明け

 ようやく雲が晴れてくれました。

 いよいよ一年で一番好きな1ヶ月の始まりです。

 梅雨明けの声を聞いてから最初の釣りは、4月にも行ったお気に入りの渓へ。

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 この日はよく釣れました。

 大場所にはだいたい魚が入っていて、ちょっとくらいキャスティングをミスしても、離れたところから飛び出してきて、勢いそのままにルアーを掻っ攫っていくような大らかな反応を楽しめました。

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 相変わらずほとんどのヤマメたちは側線上の赤みが強い。

 そして体型は春に来た時よりもずっとパワフルになっていました。 魚影は濃いですが、それ以上にエサも豊富なようです。

 でも大きさはいまひとつ。7寸から良くて8寸未満くらい。

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 前回はイワナとヤマメが半々くらいで釣れたのですが、今回イワナは8寸が1本だけ。

 非常に活性が高い日だったので、ヤマメに牽制されてイワナは出てこられなかったのかもしれませんね。

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 平地の気温は当然のように余裕の30度超えだったこの日。

 寒い時期には少し危険な高巻きをしなければならないゴルジュは、泳いで突破しました。 このほうが安全だし、何より快適。 今の時期はこういう遊び方ができるから好きです。

 そのゴルジュの先、魚の反応はさらにハイに。

 そしてやっと良型もヒット。 底に張り付くように踏ん張ってなかなか浮いてこなかったのでイワナかなと思っていましたが、浮いたところで赤い帯とパーマークが見えてドキリ。

 慌てて掬った相手はこの日一番のヤマメでした。

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 測るまではひょっとすると尺上かもしれないなんて思っていましたが、そう見えたのは、源流の魚にしては立派すぎる肉付きのせい。

 でも実際の大きさも9寸オーバーだったので、充分に満足のゆく1本でした。

 そして色合いの良さもかなりのもの。

 ゴツい体にこの繊細な色の組み合わせは反則です。

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 そんなヤマメだったのでもっと綺麗に写真に残したかったのですが、有り余るパワーであっという間に脱走。 

 少し名残惜しかったですが、元気に帰ってくれてなによりです。

 

 さあ、大好きな梅雨明け後の釣りも始まりましたが、もう今シーズンも残り2ヶ月。

 悔いの残らないよう楽しみましょう。

2016年7月22日 (金)

早起きのご褒美

 先日父から、ここ数年開拓に勤しんできた栃木の渓でようやく尺イワナが釣れたとの嬉しい報告が。

 そんな知らせに刺激されて、今回は気合いを入れてちょっと早起きしてみました。

 行き先は、春に大きなイワナと、どぎつい発色を見せるイワナが釣れた沢。

 今回はそのさらに奥の開拓。

 深夜2時前に家を出てきた甲斐あって、さらに平日ということもあり、私と同じ流域を目指す先行者の姿はありませんでした。

 そんなわけで期待感いっぱいで釣り始めたものの、反応は渋め。 以前来たときと比べるとずいぶん流れが弱々しい。 それでも平水以上の水量はありそうなのですが、増水時のようにはいきません。

 かなりの距離を歩きましたが、8寸未満のイワナが2匹だけ。 

 そのうえ、ルアーをついばんだゆうに尺を超える魚を掛けそこねる・・・。 まあ、いい魚がいることが知れただけ良かったかもしれません。

 ここまでスプーンにこだわって釣り続けてきましたが、あまりに状況が良くないのでミノーにチェンジ。

 すると、今までの渋さが嘘のように湧いて出るイワナたち。

 あっというまに9寸超が2つ掛かりました。

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 これはそのうちの一本。 秩父イワナの特徴の一つである、鰭のオレンジの縁取りがはっきりと見てとれます。 

 しかし以前に釣ったあの極彩色と比べるとだいぶ控えめな色。 

 今まで秩父イワナの可能性がある流域での釣果があまりにも少ないので何とも言えませんが、あれほどまでの発色を見せるものは稀なのでしょうか。

 その後もスプーンでは当たらず、ミノーばかりを狂ったように追うイワナたち。

 よほどハマった日だったのか、大きなイワナも躊躇いなくミノーを銜えこんできました。

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 尺をゆうに超え、大物の基準としている35㎝に迫るサイズだったものの、あと1ミリに泣かされました。

 それにしても鰭の大きさがやけに目につく魚体です。 尾鰭はもちろん、胸鰭なんかも翼のように大きく発達しています。

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 大きさはもちろんのこと、雄らしい厳つさと魚体の美しさも嬉しいところ。 なかなかに秩父イワナらしさを持った個体だと思います。

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 手早く撮影を済ませて流れに放してやると、勢いよく水を蹴って帰っていきました。

 まだ日は高い時間ですが、いいイワナが出たし、駐車ポイントまでまたしばらく歩かなければならないのでここで終了。

 今回は父からの便りに触発された形ですが、気合いを入れて一番乗りで入渓したおかげでいいイワナにありつけたと思います。

 
 あまり得意ではないのですが、釣ろうと思ったら早起きは大事ですね。

2016年6月 5日 (日)

飽食

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 何だかヤマメのような幅広な体型のイワナ・・・

 一体何を食べているのでしょうか。


2016年5月29日 (日)

ご当地イワナ 秩父と武尊

 ご存じのとおり生息地によって多彩な表現を見せるイワナたち。

 関東にも、2系統の特徴的な表現を持った個体群が居ます。

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上: 秩父イワナ 27㎝ 4月23日

下: 武尊イワナ系 28.5㎝ 5月8日

 大きさも釣った時期も近いこの2匹。

 まずは秩父イワナ。

 荒川水系の源流域に生息する個体群で、人によってはその中からさらに2タイプに分ける場合もあります。 鮮やかなオレンジ色に染まる鰭と腹に、金色の肌、そして目がチカチカするほどの蛍光色を放つ橙斑と、ぼやけるようなごく淡い白斑が特徴です。 

 他地域産のイワナとの混血が進んだことで純粋な秩父イワナはめっきり少なくなったそうですが、幸い現在でも一部の渓では壊滅を免れています。 

 これが恐らく私が出会った中では最もネイティブに近い個体で、生で見ると他のイワナとは別物な印象を受けました。 薄暗い源流では異質にも感じる、まるで熱帯魚を思わせるようなハデさ。

 一方の武尊イワナ。

 こちらも、腹や鰭、体側の斑点に赤やオレンジを強く発色し、背鰭より前方の背中の白斑が薄くなるという特徴をもっています。 名前のとおり、群馬県の武尊山系に源を発する川に生息する個体群です。 

 しかし、武尊山は利根川支流のいろんな水系の水源になっており、どの水系のものを指して武尊イワナと呼ぶのか、はっきり分かりません。 あるところでは片品川水系と言われていたり、またあるところでは薄根川水系と言われていたり・・・。 名前的には武尊川が一番それっぽい気もする・・・。 それとも武尊山系のイワナなら全部を武尊イワナと呼ぶのか・・・。 

 したがって今回釣った個体は、残念ながら武尊イワナと言い切ることはできません。

 でも、異質な赤さを持った外見は、噂に聞く武尊イワナと重なるものがあります。

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 上:秩父イワナ

 下:武尊イワナ系

 

 比べてみると、秩父イワナのほうは爽やかで、武尊イワナのほうはより濃厚でエグい感じ。

 それぞれの系統の中でも個体差はあるでしょうし、撮影環境も違うので一概には言えませんけどね。 武尊イワナのほうなんかひどくピンボケしちゃってますし。

 ニッコウイワナにしてはあまりにも鮮やかなこの2系統のイワナは、面白いことにどちらもヤマトイワナに関わるエピソードを持っています。

 秩父イワナの色彩は、大昔に山を越えて放流されたヤマトイワナの形質が、長年をかけて固定化したものだという噂があります。 

 しかし、秩父の山一つ越えた先の笛吹川水系には、現在ヤマトイワナの生息地はないそうです。 あちらは逆に、秩父から運ばれたニッコウイワナと混血したのか、そもそも最初からヤマトは居なかったのか・・・ 

 さらに、昔はヤマトが居たとしても、生きたまま秩父まで魚を運べたのかなどの疑問もあり、この話は噂の域にとどまっているようです。

 

 武尊イワナは、遺伝子を調べたところヤマトイワナに近いDNA配列を持っていたとか。

 こちらこそ、ヤマトを放流したなんて考えにくい土地ですが、外見は確かにヤマトっぽい。

 そういえば、本来のヤマトイワナの生息地から遥か遠く離れた秋田の八幡平周辺にも、ヤマトみたいなイワナがいるそうです。

 そもそもイワナを、アメマス、ニッコウ、ヤマト、ゴギの4種に分けることを疑問視する説もあるくらいなので、一部のニッコウイワナが偶然ヤマトっぽい外見に進化しても不思議ではないと思います。 

 まあ私がいくら考えても、彼らの正体が何なのかなんて分かるわけがありませんが、色々と想像を巡らせるのは楽しいですね。

 イワナの世界、奥深いです。

 

 

2016年5月23日 (月)

春の大岩魚

 4月下旬。

 天気予報では一応曇りのち晴れのはず。 しかし夜明け前の奥秩父では、しっとりと包みこむような霧雨が地上を濡らしていました。

 道から覗いた川は少し増水している様子。 今日は、間違いなくイワナの活性は高い。

 それでも、雨の日の釣りはちょっと嫌いです。

 できれば濡れたくありませんし、危険回避のために、いつもより余計に集中力を割かなければなりません。 そして何より、移動がキツイ。 私は埼玉での生活では原付しか持っていないので、家から釣り場までの3時間近くの間、雨に打たれ続けることになります。 真夏でもない限り、本当に勘弁してほしいわけです。

 この日も出発した時は平気だったのに、秩父の市街地を抜けたあたりで徐々に路面が濡れはじめたのを見た時には、あ~あ、と溜め息が漏れました。

 

 でも、イヤな天気だったのは明け方の一時だけ。 車止めに着く頃には雨も上がり、雲の切れ間から青空が覗くくらいの天気になってくれました。

 とりあえず、雨に打たれる心配はなさそう。 しかもこのタイミングなら、雨の恩恵だけはちゃっかり受け取ることができるかもしれない・・・

 期待に胸が膨らみ、ここから先の徒歩の道のりも足取りは軽い。 そのおかげか、思っていたよりも早く目的の場所まで辿り着くことができました。

 水際に降り立つと、やはり少々増水している様子が伺えます。 それに伴って期待どおりイワナたちの活性も上がっているようで、最初のポイントでさっそく小さなイワナがルアーにじゃれついてきました。

 釣り上がりはじめてまもなく、これはいかにもといった雰囲気の釜が現れました。

 5gのスープンを投げ入れると、見た目以上に流れの圧が強く、あっという間に流されてしまいました。 これは、ルアー以外の釣りで攻めきるのは難しそう。 ならば魚も残っているはず。

 立ち位置を変え、今度はディープダイバーで打つ。 流れのぶつかる巨大な岩の下をえぐるイメージで探りを入れると、心地よい水の抵抗感がロッドを通して伝わってくる。 

 餌釣りの錘では突き破れない、厚く重い流れの下に隠された緩流帯。 ここには必ず居るはず。

 何投目だったか、回収しようと浮上させたルアーの後ろに、見慣れない大きさの影が迫っていました。

 慌ててルアーを水面から引き抜くと、それはそのまま少しの間そこに定位したあとで、再び深い釜の底へ消えていきました。

 でかい。 35、いや40あるか。

 この日はもともと、秩父イワナらしい魚に出会うことだけを考えて来たので、このサイズのイワナとの立ち合いなど想像もしていませんでした。

 でも今そこにいたのは、確かに大イワナ。

 ダム差しでもない、ましてや放流魚でもない、憧れていた純粋な山育ちのイワナ・・・

 突如降って湧いたチャンスに動揺しましたが、きっとこれは獲れる。

 朝方にぱらついた雨が、この魚にスイッチを入れてくれているはず。

 一度ルアーを見せているから、今度は遠くでがっちり喰ってくれるはず。

 そう信じて再びキャストを繰り返す。

 すると数投後。 のしかかるような重いアタリが伝わってきました。

 ぐわんぐわん、と、大きく揺さぶられるような手応えが竿越しに感じられる。 

 こういう手応えの時はバレにくい。 期待どおり、いい喰い方をしてくれたようです。 しかも水中には巻かれるような障害物もなく、戦況はこちらが圧倒的に有利。

 それなのに、想像以上の引きに怖じ気づいて、頭の中では、「バレないで、頼むから!」 なんて、へたれたお願いごとを繰り返し唱えていました。

 結局、状況の良さに助けられ、たいして危なげもなくランディングできましたが、心臓はバクバク。 たまたま勝ってしまっただけで、本来は格上の相手なのだから仕方ありません。

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 39.5㎝。

 惜しくも40には届きませんでしたが、立派な尺三寸の大イワナ。 これでも、奥秩父では貴重なサイズだと思います。

 背中に白く残った傷跡が、この環境で生き抜くことの厳しさを物語っているようでした。

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 鮮やかな色彩が特徴の秩父イワナも、高齢になると色がくすみ、斑点が消失する傾向にあるといわれています。 このイワナも何年も生きてきた個体なのでしょう。 5センチのミノーなど一呑みにできるほどの大きな口からも、長い年月をかけてじっくり育ったことが伺えます。

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 4月も最高の魚で締めくくることができました。

 それにしても今シーズンは出来すぎです。 憧れていた魚が、早くもこれで2本目。

 

 コツを掴んだのか、ただ単に運がいいだけか・・・。

 

 

 

2016年5月18日 (水)

レッドバンド&ブルーバック

 秩父イワナは有名ですが、秩父ヤマメってどうなんでしょうか。

 奥秩父で釣りをしていると、しばしば独特な体色を持った個体に出会うことがあります。

 その特徴とは、一つは体側が強めに赤やオレンジを帯びること。

 そしてもう一つが、背中が冷たさを含んだ淡い灰色をしていること。

 特に背中の色は本当に個性的で、中にはブルーバックとも呼べそうなものも存在します。

 私は、これは秩父特有の血統によるものなんじゃないかな、なんて期待を寄せています。 単なる保護色による発色とは違うのではないかと。

 よその地域にも似たような水の色や石の色をした川がありますが、そこで釣れるヤマメとは、やっぱり発色の仕方が違うんですよね。

 ちょうど先月の今頃、そんな個性的なヤマメを求めて、今シーズン初の秩父へと繰り出しました。

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 まず釣れたのは、オレンジが強く出たヤマメ。 秩父ではこういう鮮やかなヤマメがよく釣れます。 これも確かにいいヤマメですが、背中の色はごく普通。 ブルーバックではありませんでした。

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 魚影は濃くて、イワナ混じりでよく釣れます。 最大は9寸。

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 ヤマメの方はいまいちサイズが伸びませんが、この日は秩父ヤマメの特徴を持った個体(私が勝手にそう思っているヤマメ)が釣れればOK。

 例えばこんな・・・

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 これぞ秩父のレッドバンド&ブルーバック。 これを釣りに来たのです。 サイズもこの日のヤマメの中では唯一まともでした。

 やっぱり何度見ても、このタイプのヤマメは格別の美しさです。 この色合いが本当に、かつて秩父に存在したネイティブから受け継がれたものなら面白いのですが、実際はどうなんでしょう?

 とにかく、今の秩父には、こんな系統のヤマメが生息しています。

 

 

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