埼玉の釣り

2016年10月 4日 (火)

閉幕

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 北アルプス登山の話の続きや、木曽川での釣りの話、地元秩父で釣れたキレイなヤマメの話など、先に書くべきことが溜まっているのですが、どれも書かないうちにだいぶ時間が経ってしまいました。

 なのでそちらは後回しにして、まずはいい魚が出たタイムリーな最後の釣りから書いていこうと思います。

 

 9月30日、イワナやヤマメが釣れる今年最後の日、平日にもかかわらず幸運にも私は丸一日釣りに行く時間をとることができました。

 思い返すと今年はイワナ釣りに出かけることが多く、いつもの年に比べてヤマメの顔を見ていないことに気付いたので、この日はいつもより下流に狙いを定めました。

 最終日なので、有終の美を飾るために本気の釣りをしたいような、逆に最後くらいのんびりしたいような微妙な心持ちでしたが、朝一のポイントで尺クラスの赤黒いヤマメの素早いチェイスを見たのをきっかけに、やる気のスイッチをオンに。

 でも秋はやっぱり難しい。 そのヤマメはそれっきりで、その後は何も反応がないまま時間がすぎてゆく・・・

 しかし他にもいいヤマメがこの流域に入っている可能性は充分に高いので、集中力をキープしながら釣りを続けると、数時間後にようやくまずまずのヤマメの引きを味わうことができました。

 釣り上げてみると26センチほどのメスのヤマメでしたが、期待を高めるには十分でした。

 この1匹が、いつもなら面倒になって粘れない大場所でも攻め抜く気力をもたらし、次の魚に繋がる重要な足掛かりになりました。

 

 巨大なプールで、普段ならとっくに次のポイントに進んでいる頃、何度もトレースしたラインで明確なアタリが。 

 大物というほどではないけれど、いいサイズだとはっきり分かる手応えを感じながら手繰り寄せてくると、鮮やかなオレンジ色が目に飛び込んできました。

 そこからは焦って少し強引になってしまいましたが、なんとか無事に最高のヤマメをネットに収めることができました。

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 とてつもなくキレイな雄の尺ヤマメが今年最後の釣りを飾ってくれました。 

 こんな完璧なヤマメで〆られるならこれ以上のことはありません。

 その後も少し釣りを続けたのですが、もう充分な気がして、昼下がりには竿を畳んでしまいました。

 これにて今期は閉幕。

 学生時代の最後にふさわしい、本当に楽しいシーズンでした。

 半年間楽しませてくれた川と出会った全ての魚に感謝・・・

2016年8月 7日 (日)

水の中

 入渓しやすく解禁前には放流もあるハイプレッシャーな場所に行ってみました。

 やはり難しく、釣果は5、6寸のイワナとヤマメが数匹でしたが、釣れないだけで魚はちゃんと居ます。 流れの中にニジマスの姿を見つけました。

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 上の写真のどこかにニジマスが写っています。

 さあ、どこにいるでしょうか?

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2016年8月 3日 (水)

梅雨明け

 ようやく雲が晴れてくれました。

 いよいよ一年で一番好きな1ヶ月の始まりです。

 梅雨明けの声を聞いてから最初の釣りは、4月にも行ったお気に入りの渓へ。

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 この日はよく釣れました。

 大場所にはだいたい魚が入っていて、ちょっとくらいキャスティングをミスしても、離れたところから飛び出してきて、勢いそのままにルアーを掻っ攫っていくような大らかな反応を楽しめました。

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 相変わらずほとんどのヤマメたちは側線上の赤みが強い。

 そして体型は春に来た時よりもずっとパワフルになっていました。 魚影は濃いですが、それ以上にエサも豊富なようです。

 でも大きさはいまひとつ。7寸から良くて8寸未満くらい。

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 前回はイワナとヤマメが半々くらいで釣れたのですが、今回イワナは8寸が1本だけ。

 非常に活性が高い日だったので、ヤマメに牽制されてイワナは出てこられなかったのかもしれませんね。

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 平地の気温は当然のように余裕の30度超えだったこの日。

 寒い時期には少し危険な高巻きをしなければならないゴルジュは、泳いで突破しました。 このほうが安全だし、何より快適。 今の時期はこういう遊び方ができるから好きです。

 そのゴルジュの先、魚の反応はさらにハイに。

 そしてやっと良型もヒット。 底に張り付くように踏ん張ってなかなか浮いてこなかったのでイワナかなと思っていましたが、浮いたところで赤い帯とパーマークが見えてドキリ。

 慌てて掬った相手はこの日一番のヤマメでした。

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 測るまではひょっとすると尺上かもしれないなんて思っていましたが、そう見えたのは、源流の魚にしては立派すぎる肉付きのせい。

 でも実際の大きさも9寸オーバーだったので、充分に満足のゆく1本でした。

 そして色合いの良さもかなりのもの。

 ゴツい体にこの繊細な色の組み合わせは反則です。

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 そんなヤマメだったのでもっと綺麗に写真に残したかったのですが、有り余るパワーであっという間に脱走。 

 少し名残惜しかったですが、元気に帰ってくれてなによりです。

 

 さあ、大好きな梅雨明け後の釣りも始まりましたが、もう今シーズンも残り2ヶ月。

 悔いの残らないよう楽しみましょう。

2016年7月22日 (金)

早起きのご褒美

 先日父から、ここ数年開拓に勤しんできた栃木の渓でようやく尺イワナが釣れたとの嬉しい報告が。

 そんな知らせに刺激されて、今回は気合いを入れてちょっと早起きしてみました。

 行き先は、春に大きなイワナと、どぎつい発色を見せるイワナが釣れた沢。

 今回はそのさらに奥の開拓。

 深夜2時前に家を出てきた甲斐あって、さらに平日ということもあり、私と同じ流域を目指す先行者の姿はありませんでした。

 そんなわけで期待感いっぱいで釣り始めたものの、反応は渋め。 以前来たときと比べるとずいぶん流れが弱々しい。 それでも平水以上の水量はありそうなのですが、増水時のようにはいきません。

 かなりの距離を歩きましたが、8寸未満のイワナが2匹だけ。 

 そのうえ、ルアーをついばんだゆうに尺を超える魚を掛けそこねる・・・。 まあ、いい魚がいることが知れただけ良かったかもしれません。

 ここまでスプーンにこだわって釣り続けてきましたが、あまりに状況が良くないのでミノーにチェンジ。

 すると、今までの渋さが嘘のように湧いて出るイワナたち。

 あっというまに9寸超が2つ掛かりました。

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 これはそのうちの一本。 秩父イワナの特徴の一つである、鰭のオレンジの縁取りがはっきりと見てとれます。 

 しかし以前に釣ったあの極彩色と比べるとだいぶ控えめな色。 

 今まで秩父イワナの可能性がある流域での釣果があまりにも少ないので何とも言えませんが、あれほどまでの発色を見せるものは稀なのでしょうか。

 その後もスプーンでは当たらず、ミノーばかりを狂ったように追うイワナたち。

 よほどハマった日だったのか、大きなイワナも躊躇いなくミノーを銜えこんできました。

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 尺をゆうに超え、大物の基準としている35㎝に迫るサイズだったものの、あと1ミリに泣かされました。

 それにしても鰭の大きさがやけに目につく魚体です。 尾鰭はもちろん、胸鰭なんかも翼のように大きく発達しています。

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 大きさはもちろんのこと、雄らしい厳つさと魚体の美しさも嬉しいところ。 なかなかに秩父イワナらしさを持った個体だと思います。

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 手早く撮影を済ませて流れに放してやると、勢いよく水を蹴って帰っていきました。

 まだ日は高い時間ですが、いいイワナが出たし、駐車ポイントまでまたしばらく歩かなければならないのでここで終了。

 今回は父からの便りに触発された形ですが、気合いを入れて一番乗りで入渓したおかげでいいイワナにありつけたと思います。

 
 あまり得意ではないのですが、釣ろうと思ったら早起きは大事ですね。

2016年7月 5日 (火)

2度あることは

 過去の釣果を参考に、今年も遡上モノを狙ってみました。

 今のところうまくタイミングにハマったのは、2013年6月23日と2015年7月5日の2回。

 そして今回の釣行は6月29日。 充分に期待の持てるタイミングです。

 

 ただ気がかりなことが1つ。

 前回の釣行で、狙う流域が発電所の放水によって大増水していたこと。 そうなると釣りになるポイントがぐっと減ってしまうので、どうか放水は止まっていてほしい・・・

 ところがそんな願いも虚しく、川は先週以上の激流となっていました。 

 これは一体どこを釣ればいいのだろう。

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 平水時には流れの緩い場所に出ても、ちょっとましになったくらいで相変わらずの激流。

 対岸の弛みで何匹か掛けるものの、流心を越えられずにバラシ。

 そんなことをしている間に、ヤマメよりも先に上流から流れてきたヘビを捕獲。

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 野生のアオダイショウは久しぶりに見ましたが、やっぱりいいヘビですね。 体は大きいのにかわいい顔つきしてます。

 

 お遊びはそこそこに釣りを再開したものの、激流に最後まで苦戦し、小ぶりなヤマメを釣るのが精一杯でした。 

 もともとこの時期に来なかった一昨年は別として、ここでは2シーズン連続で1日に複数の尺上を獲れていただけに今回も期待していたのですが、残念ながら2度あることでも3度目はありませんでした。

 まだチャンスはありますが、そろそろもっと上流に行きたい時期になってきたので、今年の遡上モノ狙いはこれで終わりかな・・・

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2016年6月11日 (土)

梅雨入り

 思い返してみると、今年は早くから源流近くばかりで釣りをしていました。

 そのせいで最近ヤマメをあまり見ていなかったので、久しぶりにイワナのいない流域で竿を出してみました。

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 梅雨を迎えた渓は増水していました。 あの程度の雨でこんなに増える?と思うくらいの増水っぷり。 妙な濁りが加わっているところを見ると、ダムも放水していたのかもしれません。 

 期待とは裏腹に活性はいまいち。

 ヤマメたちは底べったりに着いていて、ノロノロ追ってきて足元で掛かる感じ。 口の外にフッキングしていることがほとんどだったので、たぶんちゃんと口を開いて喰いにきていません。

 幸い魚が多いのでそこそこ釣れましたが、大きさは全部20~23くらい。 立派な渓相からすれば、尺とは言わなくても9寸クラスが5・6本に1本くらい混じっても良さそうなのに、釣れた魚たちより上のサイズはチェイスすら見えませんでした。

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 その後は夕方の帰りがけの一時に遡上モノのチェック。 

 降り立った場所はいっそう増水しているように感じました。 軽く平水時の2倍はありそうな量で、水の塊が荒々しく流れくだる様はまるで別の川のような表情。

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 このあたりにはいつ頃になると最初の遡上モノが差してくるのか、私はまだ知りません。 でも、増水によって本流釣りの雰囲気を醸し出す流れを見ていると、もう来ていてもおかしくなさそうにも思えてきます。

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 太い流れの中から現れたのは、期待どおりの銀ピカ。

 これから雨の降るたびに新しい魚が運ばれてくるので、楽しみにしておきたいと思います。

 

2016年5月29日 (日)

ご当地イワナ 秩父と武尊

 ご存じのとおり生息地によって多彩な表現を見せるイワナたち。

 関東にも、2系統の特徴的な表現を持った個体群が居ます。

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上: 秩父イワナ 27㎝ 4月23日

下: 武尊イワナ系 28.5㎝ 5月8日

 大きさも釣った時期も近いこの2匹。

 まずは秩父イワナ。

 荒川水系の源流域に生息する個体群で、人によってはその中からさらに2タイプに分ける場合もあります。 鮮やかなオレンジ色に染まる鰭と腹に、金色の肌、そして目がチカチカするほどの蛍光色を放つ橙斑と、ぼやけるようなごく淡い白斑が特徴です。 

 他地域産のイワナとの混血が進んだことで純粋な秩父イワナはめっきり少なくなったそうですが、幸い現在でも一部の渓では壊滅を免れています。 

 これが恐らく私が出会った中では最もネイティブに近い個体で、生で見ると他のイワナとは別物な印象を受けました。 薄暗い源流では異質にも感じる、まるで熱帯魚を思わせるようなハデさ。

 一方の武尊イワナ。

 こちらも、腹や鰭、体側の斑点に赤やオレンジを強く発色し、背鰭より前方の背中の白斑が薄くなるという特徴をもっています。 名前のとおり、群馬県の武尊山系に源を発する川に生息する個体群です。 

 しかし、武尊山は利根川支流のいろんな水系の水源になっており、どの水系のものを指して武尊イワナと呼ぶのか、はっきり分かりません。 あるところでは片品川水系と言われていたり、またあるところでは薄根川水系と言われていたり・・・。 名前的には武尊川が一番それっぽい気もする・・・。 それとも武尊山系のイワナなら全部を武尊イワナと呼ぶのか・・・。 

 したがって今回釣った個体は、残念ながら武尊イワナと言い切ることはできません。

 でも、異質な赤さを持った外見は、噂に聞く武尊イワナと重なるものがあります。

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 上:秩父イワナ

 下:武尊イワナ系

 

 比べてみると、秩父イワナのほうは爽やかで、武尊イワナのほうはより濃厚でエグい感じ。

 それぞれの系統の中でも個体差はあるでしょうし、撮影環境も違うので一概には言えませんけどね。 武尊イワナのほうなんかひどくピンボケしちゃってますし。

 ニッコウイワナにしてはあまりにも鮮やかなこの2系統のイワナは、面白いことにどちらもヤマトイワナに関わるエピソードを持っています。

 秩父イワナの色彩は、大昔に山を越えて放流されたヤマトイワナの形質が、長年をかけて固定化したものだという噂があります。 

 しかし、秩父の山一つ越えた先の笛吹川水系には、現在ヤマトイワナの生息地はないそうです。 あちらは逆に、秩父から運ばれたニッコウイワナと混血したのか、そもそも最初からヤマトは居なかったのか・・・ 

 さらに、昔はヤマトが居たとしても、生きたまま秩父まで魚を運べたのかなどの疑問もあり、この話は噂の域にとどまっているようです。

 

 武尊イワナは、遺伝子を調べたところヤマトイワナに近いDNA配列を持っていたとか。

 こちらこそ、ヤマトを放流したなんて考えにくい土地ですが、外見は確かにヤマトっぽい。

 そういえば、本来のヤマトイワナの生息地から遥か遠く離れた秋田の八幡平周辺にも、ヤマトみたいなイワナがいるそうです。

 そもそもイワナを、アメマス、ニッコウ、ヤマト、ゴギの4種に分けることを疑問視する説もあるくらいなので、一部のニッコウイワナが偶然ヤマトっぽい外見に進化しても不思議ではないと思います。 

 まあ私がいくら考えても、彼らの正体が何なのかなんて分かるわけがありませんが、色々と想像を巡らせるのは楽しいですね。

 イワナの世界、奥深いです。

 

 

2016年5月23日 (月)

春の大岩魚

 4月下旬。

 天気予報では一応曇りのち晴れのはず。 しかし夜明け前の奥秩父では、しっとりと包みこむような霧雨が地上を濡らしていました。

 道から覗いた川は少し増水している様子。 今日は、間違いなくイワナの活性は高い。

 それでも、雨の日の釣りはちょっと嫌いです。

 できれば濡れたくありませんし、危険回避のために、いつもより余計に集中力を割かなければなりません。 そして何より、移動がキツイ。 私は埼玉での生活では原付しか持っていないので、家から釣り場までの3時間近くの間、雨に打たれ続けることになります。 真夏でもない限り、本当に勘弁してほしいわけです。

 この日も出発した時は平気だったのに、秩父の市街地を抜けたあたりで徐々に路面が濡れはじめたのを見た時には、あ~あ、と溜め息が漏れました。

 

 でも、イヤな天気だったのは明け方の一時だけ。 車止めに着く頃には雨も上がり、雲の切れ間から青空が覗くくらいの天気になってくれました。

 とりあえず、雨に打たれる心配はなさそう。 しかもこのタイミングなら、雨の恩恵だけはちゃっかり受け取ることができるかもしれない・・・

 期待に胸が膨らみ、ここから先の徒歩の道のりも足取りは軽い。 そのおかげか、思っていたよりも早く目的の場所まで辿り着くことができました。

 水際に降り立つと、やはり少々増水している様子が伺えます。 それに伴って期待どおりイワナたちの活性も上がっているようで、最初のポイントでさっそく小さなイワナがルアーにじゃれついてきました。

 釣り上がりはじめてまもなく、これはいかにもといった雰囲気の釜が現れました。

 5gのスープンを投げ入れると、見た目以上に流れの圧が強く、あっという間に流されてしまいました。 これは、ルアー以外の釣りで攻めきるのは難しそう。 ならば魚も残っているはず。

 立ち位置を変え、今度はディープダイバーで打つ。 流れのぶつかる巨大な岩の下をえぐるイメージで探りを入れると、心地よい水の抵抗感がロッドを通して伝わってくる。 

 餌釣りの錘では突き破れない、厚く重い流れの下に隠された緩流帯。 ここには必ず居るはず。

 何投目だったか、回収しようと浮上させたルアーの後ろに、見慣れない大きさの影が迫っていました。

 慌ててルアーを水面から引き抜くと、それはそのまま少しの間そこに定位したあとで、再び深い釜の底へ消えていきました。

 でかい。 35、いや40あるか。

 この日はもともと、秩父イワナらしい魚に出会うことだけを考えて来たので、このサイズのイワナとの立ち合いなど想像もしていませんでした。

 でも今そこにいたのは、確かに大イワナ。

 ダム差しでもない、ましてや放流魚でもない、憧れていた純粋な山育ちのイワナ・・・

 突如降って湧いたチャンスに動揺しましたが、きっとこれは獲れる。

 朝方にぱらついた雨が、この魚にスイッチを入れてくれているはず。

 一度ルアーを見せているから、今度は遠くでがっちり喰ってくれるはず。

 そう信じて再びキャストを繰り返す。

 すると数投後。 のしかかるような重いアタリが伝わってきました。

 ぐわんぐわん、と、大きく揺さぶられるような手応えが竿越しに感じられる。 

 こういう手応えの時はバレにくい。 期待どおり、いい喰い方をしてくれたようです。 しかも水中には巻かれるような障害物もなく、戦況はこちらが圧倒的に有利。

 それなのに、想像以上の引きに怖じ気づいて、頭の中では、「バレないで、頼むから!」 なんて、へたれたお願いごとを繰り返し唱えていました。

 結局、状況の良さに助けられ、たいして危なげもなくランディングできましたが、心臓はバクバク。 たまたま勝ってしまっただけで、本来は格上の相手なのだから仕方ありません。

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 39.5㎝。

 惜しくも40には届きませんでしたが、立派な尺三寸の大イワナ。 これでも、奥秩父では貴重なサイズだと思います。

 背中に白く残った傷跡が、この環境で生き抜くことの厳しさを物語っているようでした。

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 鮮やかな色彩が特徴の秩父イワナも、高齢になると色がくすみ、斑点が消失する傾向にあるといわれています。 このイワナも何年も生きてきた個体なのでしょう。 5センチのミノーなど一呑みにできるほどの大きな口からも、長い年月をかけてじっくり育ったことが伺えます。

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 4月も最高の魚で締めくくることができました。

 それにしても今シーズンは出来すぎです。 憧れていた魚が、早くもこれで2本目。

 

 コツを掴んだのか、ただ単に運がいいだけか・・・。

 

 

 

2016年5月18日 (水)

レッドバンド&ブルーバック

 秩父イワナは有名ですが、秩父ヤマメってどうなんでしょうか。

 奥秩父で釣りをしていると、しばしば独特な体色を持った個体に出会うことがあります。

 その特徴とは、一つは体側が強めに赤やオレンジを帯びること。

 そしてもう一つが、背中が冷たさを含んだ淡い灰色をしていること。

 特に背中の色は本当に個性的で、中にはブルーバックとも呼べそうなものも存在します。

 私は、これは秩父特有の血統によるものなんじゃないかな、なんて期待を寄せています。 単なる保護色による発色とは違うのではないかと。

 よその地域にも似たような水の色や石の色をした川がありますが、そこで釣れるヤマメとは、やっぱり発色の仕方が違うんですよね。

 ちょうど先月の今頃、そんな個性的なヤマメを求めて、今シーズン初の秩父へと繰り出しました。

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 まず釣れたのは、オレンジが強く出たヤマメ。 秩父ではこういう鮮やかなヤマメがよく釣れます。 これも確かにいいヤマメですが、背中の色はごく普通。 ブルーバックではありませんでした。

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 魚影は濃くて、イワナ混じりでよく釣れます。 最大は9寸。

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 ヤマメの方はいまいちサイズが伸びませんが、この日は秩父ヤマメの特徴を持った個体(私が勝手にそう思っているヤマメ)が釣れればOK。

 例えばこんな・・・

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 これぞ秩父のレッドバンド&ブルーバック。 これを釣りに来たのです。 サイズもこの日のヤマメの中では唯一まともでした。

 やっぱり何度見ても、このタイプのヤマメは格別の美しさです。 この色合いが本当に、かつて秩父に存在したネイティブから受け継がれたものなら面白いのですが、実際はどうなんでしょう?

 とにかく、今の秩父には、こんな系統のヤマメが生息しています。

 

 

2015年11月 3日 (火)

夏の日

 禁漁から早1ヶ月。

 暖かい埼玉でも朝晩は冷えるようになってきました。 寒いのが苦手なので、冬の訪れを感じさせるこの時期になると、毎年憂鬱な気分になってしまいます。

 そんな時にふと思い出すのは、大好きな季節の釣り。

 8月の頭からお盆までの僅かな間・・・ この時期の渓谷は、緑の濃さだったり、蝉のうるさいほどの鳴き声だったり、とにかくそこらじゅうに自然のエネルギーが溢れていて、最高の賑わいを見せてくれます。

 まだ秋のような焦燥感が芽生えることもなく無邪気に楽しめる、真夏のよく晴れた渓流が一番好きです。

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 この時訪ねたのは4月にとてつもない魚影の濃さを見せた秩父の川。 良い型に育ったあの時の魚たちがバンバン釣れてしまうのではないかと期待しましたが、打って変っての静けさ。 まあ、初めて行った時に良かった川は、その時がピークだったということはよくあります。 恐らく岩の下にでも潜っているのでしょう。

 それでもこの川の生産能力の高さは隠しきれないようで、あちこちにヤマメやイワナの稚魚が溢れていました。 プールを探れば、ルアーより一回り大きいくらいの稚魚が20匹以上の群れで追ってくる。 そんな光景を何度見たことか・・・。

 それだけ魚が居れば、数を打てばたまにはまずまずの魚も掛かります。 20センチ以上の魚はチェイスすら見せてくれない状況の中、突然痛快なアタリが伝わりました。

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  25センチを超えたヤマメですが、まるで幼魚のような鮮やかさ。 こういうくすみのないぴかぴかの魚に出会えることも夏の釣りの魅力です。

 何匹かヤマメを追加しながらしばらく釣り上がると、今度はイワナのチェイス。 浅い落ち込みの白泡の中から出てきたそのイワナは、そのまま上流を見つめるようにしてヒラキに定位。 珍しくいい反応。 そして次のキャストで、予想通り猛然とルアーに突進。 やっぱりイワナはこうでなくちゃ。

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 それにしても、これまた綺麗な魚。 鰭のオレンジ色がよく映えます。 チェイスした時に大きくないことが分かったのでスルーしてもいいかと思いましたが、釣ってみるものですね。

 結局まともな反応はこれくらいで、最後まで渋い状況は変わりませんでした。 それでも真夏の釣りはやっぱり楽しい。 熱い日差しと冷たい渓水を浴びながら川を遡行するのが最高に心地いい。 

 

 肌寒さを覚えるようになった日々の中、あの感覚がたまらなく恋しくなってきました。 アレをまた味わうためには、まず、これからやってくる冬を越えなければ・・・。

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