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2016年8月23日 (火)

最後の夏休み 2

 翌日は別の支流へ。

 こちらの沢も人の気配はまるで感じられません。

 入渓点からしばらくは背丈を超える草が生い茂り、やっとその先の森に抜け出たら、頼りない踏み跡には簡単にどかせそうな邪魔な倒木も堂々と横たわったままになっていました。

 川辺に降り立ち、砂地に足跡を探す・・・

 やはり、ありません。

 先に準備を終えた父が釣りを始めると、一投目から2匹のイワナがチェイスしてきたといいます。 このときから期待は持てそうだと感じていましたが、まさかこの先にあれほどまでのイワナの楽園が待ち受けているとは思いもしませんでした。

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 前日に入った沢に比べれば、渓相も平均的な魚体の色合いの美しさも劣ってしまうのですが、魚影はこちらが圧倒的。

 良さそうなポイントには必ず、本当に1つの例外もなく必ず魚が入っていて、大場所では良型が5、6匹同時に追ってくることも当たり前・・・

 流れの中に定位するイワナを見つけることだって簡単でした。

 禁漁区でもない、放流にも頼らない場所でこれほどの魚影が見られることには驚くほかありません。

 ただし何十匹も釣れたのかというとそうでもありませんでした。

 離れたところからすっ飛んできたり、絡みつくように何度もチェイスしてくるところまでは釣り人を知らないピュアなイワナの反応に見えるのに、なぜかバイトまで至らない・・・

 足跡もゴミも一つもなく、入渓ルート以外には踏み跡すらないので、やはりどう考えてもスレているとは思えないし、第一この異常なまでの魚影の濃さは誰も来ていないことを証明しているように見えるのですが、本当にたくさんのイワナに見切られてしまいました。

 でも反応した魚は必ず喰うような状態だったら、きっと釣れすぎて飽きてしまったと思います。

 それでも普段に比べたらずいぶん釣れたんですけどね。 

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 このゆうに尺を超えるイワナも、結局釣り上げることはできませんでした。

 屈折のせいで目が飛び出て見える不恰好な写真しか残せませんでしたが、釣れたらきっと絵になるイワナだったんだろうなあ・・・

 近づいても逃げなかったので、いっそ掬ってやろうかと思って水中にネットを突っ込んだら、さすがに逃げられました。

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 実際に釣れた大きさは、私も父も泣き尺が最大でした。

 これは確か私が釣った28センチほどのイワナ。

 鳥につつかれたのか、増水で流れた石に挟まれたのかは分かりませんが、尾鰭がちぎれていました。

 完全な状態でも尺には届かなかったかな・・・

 結局大物には出会えませんでしたが、この日もとびきりのキレイなイワナに出会うことができました。

 ある白いナメ床と砂のプールで9寸ほどのイワナがヒット。

 このくらいの大きさならこの日は何匹も出会ってきたので最初は特に驚きもなかったのですが、はっきり目視できる距離まで寄せたところでキレイな青い背中が見えました。

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 爽やかで瑞々しい最高の美魚がネットに収まり、前日の沢のイワナに勝るとも劣らないその姿にしばし釘付けになってしまいました。

 沢はまだまだ奥まで続いており、登っても登っても最後までイワナの姿が絶えることはありませんでしたが、時計を見るともう午後2時。 後ろ髪を引かれる思いでもと来た道のりを引き返しました。

 家に戻ると、大叔父が豪勢な夕食を用意してくれていました。 疲れた体には有難いです。

 それから私たちも、あれだけ魚影の濃い沢だったので、久~しぶりに2匹のイワナを頂戴してきました。 今の時代、どれだけ魚影が濃かろうと推奨されるべき行為ではないのかもしれませんが、自分で釣った天然のイワナを食べることには何ものにも代えがたい喜びがありました。

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 夕食のあとは2日分の釣りの疲れを癒すように早く布団に潜りこみました。

 照明を消してしまえば、光は家の前にある古い電灯か月や星の輝きしかなく、部屋はほとんど真っ暗。

 そんな中で聞こえてくる、すぐ近くを流れる川のせせらぎ、虫やカエルの声・・・

 年に何度も味わえないノスタルジックな夜の心地よさに、あっという間に眠りに落ちてゆきました。

 

 

 そして翌日。

 ゆっくり目を覚まして遅めの朝食を済ませたあとで、大叔父に別れを告げて新潟を後にしました。

 

 物心つく前からのこと・・・

 この土地の村を流れる渓流で、父や親戚たちから川遊びを教わりました。

 それ以来私にとっての夏休みといえば、この場所での川遊びが最大のイベントでした。 

 きっと幼い頃からのあの経験がなければ、釣りを好きになることもなかったと思います。

 毎年毎年、本当に楽しませてくれたこと、釣りに出会うきっかけを与えてくれたこと、この場所には感謝してもしきれません。

 最後も楽しませてくれてありがとう。

 

 さようなら、夏休みと思い出の場所・・・

 

 ・・・まあ、社会人になっても暇さえあれば来ると思うんですけどね。 大袈裟に書きすぎました。

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コメント

良い自然が残っていますね。
魚影がかなり濃いと餌の取り合いで、あまり良型がいない印象ですが、緑豊かなおかげで餌が豊富なのでしょうね。
またまだ楽しみな沢がありそうで、社会人になっても夏休みの思い出はたくさんできそうですね♪

>リンゴさん

そうですね~
ホームの秩父ですら未踏の場所がまだまだあるので、楽しむためのステージはたくさん残されています。
あとはどれだけ時間がとれるか・・・

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